うわあああ、かかか、かまぼこだぁーーーーっ!! 誰にも渡さん!! 誰にも渡さんぞぉーーーーっ!!!! そ、そして彼は歯形を残して、風のように去っていった・・・・。 そのころ弟は、高級揚げかまぼこを1人満喫しているのであった。
昼休み、工場からひとり歩いて、永崎海岸の浜辺に向かった。 耳をそばだてると、春を歌う鳥の声が潮騒にとけてゆく。 遠くに目をやると、大きな汽船が蜃気楼のような姿をあらわに、南へ向かった。 海は果てしなく続く。波は、規則的な音を立てて、変わらず砂…
豆腐のかまぼこ。かまぼこでもあり、豆腐でもある。 焼いて食べてもおいしいのは、かまぼこも、豆腐も、おなじ。 魚と豆の違いはあるけれど、白色で、原料をすったりこしたりして、つくる。 だから、わかるんだなあ、豆腐職人の大変さ。
できたてのかまぼこを、脇の小部屋でつまみぐい。 今日のできばえを確認するためなので、 これも、ちゃーんとした仕事の1つ。 焼きたての、いちばんおいしいかまぼこを食べて、ごめんなさい。
手は嘘をつかない。その人の人生が、そこに刻まれる。 ごまかしがきかないから、マドンナだって、手袋をして老いを隠す。 塩分にまみれながら、自らの手で魚の身を摺ってきた職人の手。 分厚く、太く、無骨なその手は、嘘をつけない職人の証だ。
昔ながらの浜辺の町は通りが狭い。 でっかい車に乗るより、原チャリだ。 あれ、おじさん、へ、ヘルメット、、、、? きっと写真がぼやけてるだけ(してるはずだ)!
あ、こぼした。 ひ、拾ってしまえ! (う、器の中に戻したわけじゃ、ないんだからねっ!!!)
かまぼこ工房だから、たまにはこういうごはんを自分でつくる。 さんまのぽーぽー焼きのかまぼこ。 刻んだねぎ、胡麻油、七味唐辛子を混ぜて、どんっと乗っける。 ほんとにうまいもんを食えるのは、田舎暮らしの醍醐味だね。
この町の春は、晴れる日が多い。 外へ出たら、空の青と屋根の青が競うようにして映えていた。 海岸から吹く海風は木々を揺らし、鳶声は耳に優しく空に響きわたる。 心静かに、永崎は今日も晴れている。